TSURUGI NI IJU

TSURUGI NI IJU

ここから見える景色が、
子どもの頃の記憶と似ていたんです。

石川県金沢市の中心部にある野町駅から白山市・鶴来駅の間を走る北陸鉄道・石川線の線路沿いにある、閑静な住宅街。美しい庭木が目を引く自宅の一角で完全オーダーメードのケーキ専門店「kivi(キビ)」がオープンしたのは、2021年春のことでした。

オーナーの船曵さやかさんは金沢市内の職場で夫・裕一さんと出会い、2011年に入籍。家を建てるにあたって白山市に引っ越し、現在は子どもたち3人と共に賑やかで楽しい生活を送っています。家族が集まる週末のよく晴れたある日、ご自宅にお邪魔して白山市での暮らしやお仕事について伺いました。

 

さやかさんは加賀市出身、裕一さんは福井県出身とのこと。この場所に家を持つことを決めたきっかけはなんだったのでしょうか。

さやかさん

結婚した当初は金沢でアパート暮らしをしていたんです。この土地は友人におすすめしてもらったのですが、実際に足を運んでみると加賀の実家から見える景色とすごく似ていて。目の前に広がる自然が豊かで、それで親近感を覚えました。

実際に白山市で暮らしはじめてよかった点はどんなところですか?

さやかさん

ここは新興住宅街ということもあり年の近い人が多くて、ご近所付き合いがあって楽しいです。それから驚いたのは子育てのしやすさですね。白山市の子育て相談を利用したときに、市の担当者の方がみんな優しくて、親身になって話を聞いてくれたので心強かったです。


現在、お子さんが3人いらっしゃるのですね。休日はどのように過ごしているのでしょうか?

さやかさん

一番下の子は未就学児、それと小学生の娘と息子がいます。週末は近所の子どもと「白山市鶴来総合文化会館クレイン」(図書館や児童館などを併設するホール)へ行ったり、実家の加賀に帰ったり。今年の夏はよく羽咋市の千里浜海岸まで海水浴をしに行きました。金沢、加賀、能登、どこへ行くにもそんなに遠くないので、色々と遊びに行けるのも気に入っています。



船曵さんが手掛けるケーキは私の周りでも評判で、アイシングクッキーや絶妙な色合いのクリームなど表現の幅が広く、店名が表すとおりまるで宝石のような繊細で完成度の高いケーキが人気です。現在のお仕事をはじめた経緯を教えてください。

さやかさん

昔からお菓子作りが好きで、以前は石川県内に複数店舗があるカフェでお菓子の製造を担当していたんです。小学校の給食調理員も経験したのですが、いつか自分で仕事をしたいなと思っていて。その後、友人からケーキ依頼を受けて作っているうちに徐々に口コミが広がって、お店のオープンにつながった形です。

ケーキを手掛ける上で、大切にしていることはなんですか?

さやかさん

お子様のお誕生日や結婚記念日など、特別な日のためのケーキのオーダーが多いのですが、特にお子様のお気に入りのキャラクターや乗り物、好きな色などご要望をいただくことがあるので、それを忠実に再現できるよう心がけています。また安心・安全なものをお届けしたいので、北海道産の小麦粉やオーガニックのきび砂糖、富山県産の卵、非遺伝子組み換え肥料の牛乳、「稲ほ舎」さんの減農薬米粉を使っているのもこだわりです。一度注文いただいた方が喜んでくれて、感想を伝えてくれたり、またオーダーしていただいたりすると嬉しいですね。



もともとご自宅でお店をする予定だったのでしょうか?

さやかさん

以前は別の場所に工房を借りてケーキを作っていたんです。ですが子どもが幼かったので、家で仕事ができたほうがいいと思っていて。ありがたいことにオーダーもだんだん増えてきたので、1年半ほど前に自宅の一室をリノベーションして工房を作りました。起業してすごくよかったなって思っています。子育てとの両立ですか?正直大変ですし毎日バタバタだけど、それでもすごく楽しいですよ。


 

取材中、ブレイブボードに乗って広い道路を走ったり、自由奔放に遊ぶ子どもたちと、それをあたたかく見守る船曵さん夫妻。さやかさんが「正直大変」というように3人の子育ては決して簡単なことではないと思いますが、日曜日の昼さがり、のんびりとした景色のなか、家族を優しく包み込む穏やかな時間が流れていました。